「予算を増やすとCPAが悪化する」をクリエイティブの見せ方で解決。CPAを維持しながら予算25%増額した事例

「予算を増やしたいのに、増やすとCPAが上がってしまう」

広告運用をしていると、一度はこの壁にぶつかった経験があるのではないでしょうか。

今回は、ある予算帯では安定してCPA目標内で獲得できていたものの、予算を50%増やそうとするとCPAが大幅に悪化してしまっていた案件において、CPAを許容範囲内に維持しながら予算を25%拡大できた施策をご紹介します。

結論から言うと、ポイントは「予算を増やす」のではなく「クリエイティブの見せ方を変えて、リーチできるターゲット層を広げる」というアプローチでした。

今回の事例

今回の事例は、就活支援サービスのInstagram広告運用における予算拡大施策です。

コンバージョンポイントはLINE友だち追加で、広告経由でLPに流入したユーザーをLINE登録へと誘導する設計になっています。

当時の状況として、現状の予算であれば安定した獲得ができていましたが、クライアントからは「可能であれば予算を増やして獲得数を伸ばしたい」というご要望がありました。

しかし、単純に広告セットの予算を増額するだけではCPAが悪化してしまうことが過去の検証で分かっており、CPAを維持しながら予算を増やす方法を模索する必要があったのが今回の施策の背景です。

こんな人に読んでほしい

  • 予算を増やしたいのに、増やすとCPAが悪化してしまって困っている
  • CPAを維持しながら予算を拡大するやり方がわからない
  • クリエイティブのバリエーションをどう増やせばいいかわからない
  • 同じようなクリエイティブばかりで、広告運用が行き詰まっている
  • Instagram広告で効率よくスケールするための実務的なノウハウが知りたい

予算を増やすとCPAも上がる問題

今回の課題を整理すると、以下のような状況でした。

  • ベース予算の場合:目標CPA内で安定して獲得できていた
  • 50%増額した場合:CPAも約50%上振れしてしまった

つまり、予算を50%増やそうとすると、CPAも約50%悪化してしまう。これでは予算を増やしても獲得効率が落ちるだけで、クライアントにとってのメリットがありません。

ベース予算を少しでも超えようとすると、すぐに許容CPAラインを超えてしまう状態でした。

この予算を増やすとCPAが悪化するという現象は、Instagram広告を運用していると比較的よく遭遇するケースではないでしょうか。

原因は「予算」ではなく「クリエイティブ」だった

Instagram広告マネージャーで配信状況を分析したところ、興味深い事実が見えてきました。

通常の日予算では目標CPA内で獲得できていたクリエイティブが、同じ広告セット内で日予算を2倍に増額すると、同じクリエイティブでもCPAが約50%悪化してしまうという現象が起きていたのです。

ここから立てた仮説は、「今のクリエイティブは獲得効率は良いが、ターゲット拡張には耐えられない見せ方になっている」というものでした。

どういうことかというと、Instagram広告では予算を増やすと、機械学習がもっと多くの人に広告を届けようとして配信対象を拡張していきます。このとき、今まで反応が良かった「コアなターゲット層」だけでなく、その周辺の「反応しにくい層」にも広告が配信されるようになります。

もし今のクリエイティブが「コアなターゲット層」にしか刺さらない構成であれば、ターゲットが拡張された途端にCPAが悪化するのは当然の結果です。

つまり、問題は予算が多すぎるのではなく、予算増額に耐えられるクリエイティブが足りないのではないかと考えました。

やったこと:見せ方の違うクリエイティブを追加

Before:変更前の広告構成

施策実施前の広告構成は以下のような状態でした。

  • 広告セットA:クリエイティブ4本(CPAが良いためBの2倍の日予算)
  • 広告セットB:クリエイティブ4本(標準の日予算)

合計8本のクリエイティブで、ベース予算を運用している状況です。

After:変更後の広告構成

ここに新たに広告セットCを追加し、構成・見せ方を変えたクリエイティブを4本追加しました。

広告セットCの日予算は、最初はBと同じ標準の日予算からスタートし、CPAが安定していることを確認しながら最終的にAと同等(標準の2倍)まで引き上げました。

ポイントは、既存のクリエイティブの焼き直しではなく、構成・見せ方そのものを変えたクリエイティブを作成したことです。

具体的には、既存のクリエイティブがノウハウを伝える動画だったのに対し、新しいクリエイティブは「お客様インタビュー動画の切り抜き」という構成に変更しました。

既存のクリエイティブが反応していた層とは別のターゲット層に届くことを意識して、以下のような変更を加えました。

  • クリエイティブの構成(冒頭の入り方、展開の仕方)を変更
  • 伝え方の切り口を変更(ノウハウ動画 → お客様の声)
  • ビジュアルのトーン&マナーを調整

同じ商材でも、違う見せ方をすれば、今まで反応しなかった層にも届くのではないかという発想です。

何を見て判断したか

今回の施策では、以下のKPIを設定して効果を検証しました。

主KPI

  • LINE友だち追加CPA
  • 月間広告費用(消化金額)

副KPI

  • CPC(クリック単価)

シンプルにCPAを許容範囲内に収めながら、月間の消化金額を増やせたかどうかで成否を判断しました。

結果:25%増額してもCPAは許容内

約1ヶ月間の検証期間を経て、結果は以下のようになりました。

指標BeforeAfter変化
月間費用ベース予算ベース予算 × 1.25+25%
CPA目標CPA内許容CPA上限付近許容CPA内をキープ

当初の目標だった「予算50%増で許容CPA内」には届きませんでしたが、予算25%増までであればCPAを許容範囲内に維持しながら予算を拡大することに成功しました。

予算を25%増やしても、CPAが許容ラインを超えなかったのは大きな成果です。

なぜうまくいったのか

今回の施策がうまくいった要因として、以下の2点が考えられます。

要因①:クリエイティブのバリエーションを増やしたことで新しいターゲット層にリーチできた

既存のクリエイティブとは異なる構成・見せ方のクリエイティブを追加したことで、今まで反応しなかった層にも広告が届くようになりました。

「予算を増やす=同じクリエイティブをより多くの人に見せる」ではなく、「予算を増やす=より多様な見せ方で幅広いターゲットにアプローチする」という発想の転換がポイントだったと思います。

要因②:追加したクリエイティブの質が高かった

新しく追加したクリエイティブ自体の完成度が高く、単体でも十分な獲得効率を出せていました。見せ方を変えただけでなく、クリエイティブとしてのクオリティを担保できていたことも成功要因の一つです。

今回の施策の限界

一方で、今回の施策では当初目標の50%増までの拡大には至りませんでした。

ただし、これが上限だとは考えていません。今回追加したクリエイティブはまだターゲットを広げる余地がありそうですし、同じアプローチで見せ方のバリエーションをさらに増やすことも検討中です。引き続き試行錯誤しながら、50%増の目標に向けて改善を続けていく予定です。

このアプローチが効くケース

今回のアプローチは、以下のような状況で効果が期待できます。

CPAは良いが、予算を増やすとCPAが悪化する

現状の予算では目標CPA内で獲得できているものの、予算を増やそうとするとCPAが悪化してしまう。この予算とCPAのジレンマを抱えている場合、クリエイティブの見せ方を変えることで突破口が見つかる可能性があります。

今後、予算を増やして獲得数を伸ばしていきたいフェーズ

クライアントから「予算を増やして獲得数を伸ばしたい」という要望がある案件や、これからスケールさせていきたいフェーズの案件に有効です。

クリエイティブのバリエーションが少なく、似たようなクリエイティブばかりになっている

同じような構成・見せ方のクリエイティブばかりで広告運用が行き詰まっている場合、切り口を変えたクリエイティブを追加することでターゲット層を広げられる可能性があります。

LINE友だち追加やリード獲得がコンバージョンポイントになっている

今回の事例のようにLINE友だち追加がコンバージョンポイントの場合や、資料請求・無料相談などのリード獲得を目的とした広告運用で特に効果が期待できます。

試してみてほしいステップ

  1. まず「予算増額テスト」で現状を確認する
    日予算を一時的に増やしてみて、CPAがどの程度悪化するかを確認
    悪化するなら「ターゲット拡張に耐えられていない」可能性が高い
  2. 構成・見せ方の異なるクリエイティブを追加する
    既存クリエイティブの「焼き直し」ではなく、見せ方の切り口を変える
    「今までと違う層に届けること」を意識して企画する
  3. 新しい広告セットで検証する
    既存の広告セットに追加するのではなく、新規広告セットとして追加
    既存セットへの影響を避けながら検証できる

まとめ

予算拡大の壁にぶつかったとき、「予算を上げる=同じ広告をもっと配信する」と考えがちですが、それではターゲット拡張時にCPAが悪化してしまいます。

予算を上げる=より多様な見せ方で、より多くのターゲット層にアプローチする」という発想に切り替えることで、CPAを維持しながら予算を拡大できる可能性があります。

もし同じような課題でお悩みでしたら、ぜひ一度、クリエイティブの見せ方を変えてみてください。

広告運用のご相談

SPIRITSでは、Instagram広告をはじめとするデジタル広告の運用支援を行っています。

「予算を増やしたいがCPAが悪化してしまう」「クリエイティブがマンネリ化している」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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Mariko Sekido
Webマーケティング領域で、課題整理と集客設計から、施策の実行・計測・改善まで担当しています。広告・SEO・Web改善を横断し、現場の意思決定に使える形で考え方とプロセスを整理して発信します。

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