メールリストもLINE公式アカウントも持っている。でも、イベント告知は「1通送ってあとは待つだけ」で終わっていませんか?
今回の事例でやったことはシンプルで、イベント1週間前からメールとLINEで「何を届けるか」「いつ届けるか」を設計し直しただけです。
ツールも配信リストも既存のもの。届け方の設計を変えただけで、結果として婚活セミナーへの申込数を10名集まればよかったところを55名(うち見込み客19名)まで増やすことができました。
この記事では告知の仕方をどう設計し直したのかを解説していきます。
目次
今回の事例
今回の事例は、ある結婚相談所のオンライン婚活セミナーにおける、メール×LINEのナーチャリング設計の見直しです。
イベントLPや申込フォームはあったものの、メール・LINEのイベント案内はほぼ設計されておらず、「既存会員だけがなんとなく参加するイベント」になっていました。
当社はHubSpotと公式LINE、GA4の過去配信データを洗い直し、イベント1週間前からメールやLINEで価値訴求とリマインドを重ねる設計に切り替える支援を行いました。チャネルは既存のハウスリスト(メール/LINE)がメインで、広告は触っていません。
- メールリストやLINE公式アカウントはあるが、「とりあえず配信」で終わっていてナーチャリング設計まで手が回っていない担当者
- セミナー/ウェビナーをやっているものの、いつも同じ既存顧客だけが参加していると感じ ている人
- 広告やSEOに投資する前に、今いるハウスリストからもう一段成果を出したいマーケター・ 事業責任者
- HubSpotやGA4などのツールは入っているが、「データを見る→設計を変える→検証する」のループがまだ回っていないチーム
課題:既存会員ばかり・イベント案内が設計されていない・メールが眠っている
施策前、支援先が抱えていた課題は大きく三つでした。
既存会員しか来ない「なんとなくイベント」になっていた
オンライン婚活セミナーのイベント申込数は1回あたり5〜10名程度。参加者の多くは既存会員で、「新しい見込み客との接点を増やすチャネル」にはなっていませんでした。メール・LINEともにハウスリストはあるのに、イベント案内の設計も頻度も決まっておらず、外部コンサル任せの運用になっていました。
メールは眠り、LINEだけがなんとなく反応していた
HubSpot、公式LINE、GA4で分析すると、以下のような状態でした。
- LINEでイベント募集をしたときだけ、メールより明らかに反応(クリック・申込)が高い配信がいくつかあった
- 「メールとLINEを組み合わせてイベント募集する」という設計はほぼ存在せず、LINE配信も月1回程度の気まぐれ運用に留まっていた
- 過去にメール経由CVがかなり高かった時期があり、「ちゃんと運用していた頃は成果が出ていた」形跡がある
- 直近はメルマガ運用自体が崩れており、ポテンシャルのあるチャネルが放置されている状態だった
LINE配信ログを投稿意図別に集計・比較すると、この傾向はさらにはっきりしました。イベント告知の配信は他の投稿意図に比べて、開封率・クリック率ともに一段高いゾーンに固まっていたのです。イベント告知の開封率はおおむね70〜80%台、クリック率は14〜40%程度。
一方、YouTube誘導やブログ案内の配信は開封率が40〜70%台にばらつき、クリック率は7〜13%程度にとどまります。同じリストに届けても、何を届けるかで反応がここまで変わる。この事実が、イベント告知に絞ってメール・LINEの設計を組み直す判断を後押ししました。
広告を足す前に、既存リストから成果を出したい
新規会員の獲得ペースが鈍化しており、広告費を足す前に、既存リストへのナーチャリングを整えたほうが投資対効果が高いと判断。この課題から着手しました。
仲人・カウンセラーへのヒアリングでも「婚活が長期化している人ほど、当日の振る舞い方を教えてくれる場を求めている」という声があり、イベントの価値自体は高いと判断。問題は中身ではなく、「誰に・どのチャネルから・どのタイミングで・どんな言葉で届けるか」が設計されていないことだと読み切りました。
やったこと:イベント1週間前からの”4本軸”ナーチャリング設計
今回取り組んだのは、以下の4つです。
- イベントLPと導線の見せ方を整理する
- コピー・メッセージを設計する
- メールの配信設計を組み直す
- LINEの配信設計を組み直す
広告施策は一切触っていません。すべて「既存リストへの届け方の設計」だけで完結しています。
① イベントLPと導線の見せ方を整理する
- サイト上にイベント紹介ページ兼申込フォーム(イベントLP)はあるものの、内容は簡素で、「たまたまサイトに来た人がポップアップに気づけば申し込む」レベルでした。
- ほぼ「申込フォームの送信」だけをゴールとして見ており、その手前の「イベント内容を読む」「自分ごと化する」といった中間行動は設計されていませんでした。
- ポップアップ頼みで、ハウスリストから能動的にイベントLPへ送客する導線がない状態。
- イベントのターゲット/内容/安心材料(勧誘なし・他社会員OK など)が一目で伝わるように、見出しと箇条書きで情報を再整理しました。
- マイクロコンバージョンを再設計し、「イベント内容を最後まで読む」「詳細ボタンをタップする」「まずは無料で話だけ聞いてみる」といった中間の一歩も意識して、メール本文やLINEメッセージ内に複数のリンク・ボタンを配置しました。
② コピー・メッセージを設計する
- イベント案内のコピーやメッセージはそもそも設計されておらず、最低限の情報を載せるだけの状態でした。
- 「婚活がうまくいかず不安を抱えている女性」に向けて、自己認識に寄り添う言葉をタイトルや冒頭に置きました。メール・LINEともに、服装や会話で迷わないためのポイント、NG例・OK例、当日の準備チェックリストなど、セミナー内で得られる具体的な学びを箇条書きで提示し、「この1時間が自分の婚活に直結しそう」とイメージできるようにしました。
- さらに、「マッチング目的のイベントではない」「他社で活動中の方も参加OK」「入会勧誘は一切なし」などの安心材料を、公式LPだけでなくメール・LINE内でも繰り返し伝えました。
③ メールの配信設計を組み直す
- イベントに関するメール配信はほぼゼロ。メルマガ運用自体も崩れている状態でした。
- イベント1週間前から、「価値説明 → 具体的な内容紹介 → 申込締切リマインド」の流れを数本に分けて配信しました。
- メールの役割はテキスト量を活かして背景・価値・詳細説明をしっかり伝えることに置きました。読者がイベントの意義を理解し、「自分に関係ある」と思ってからLINEでリマインドを受け取る、という流れを想定しています。
- 配信ごとに単一のテーマを持たせ、1通で詰め込みすぎないようにしました。
④ LINEの配信設計を組み直す
- 月1回程度の気まぐれ配信があるだけで、イベント募集もほとんどしていない状態でした。
- LINEの役割はスマホからその場で申し込める即時性とリマインドに寄せました。メールで価値を理解した読者が、LINEのリマインドをきっかけに申し込む、という導線です。
- メールとLINEのどちらにも価値訴求とリマインドの両方を入れており、どちらか一方しか見ていない読者にも対応できるようにしています。
- LINEはスクロールせずに読める情報量に収め、タップ1回で申込フォームに到達できるボタン配置を意識しました。
結果:申込55名、そのうち19名が新しい見込み客
主KPIはオンライン婚活セミナーのイベント申込数、副KPIとしてメール開封率・クリック率(HubSpot)、LINE配信からのリンククリック数、イベントLP到達数、既存会員 vs 見込み客のセグメント比較を見ました。
今回はサンプルサイズも踏まえ、厳密な検定ではなく、Before / Afterの比とチャネル間の相対比較を重視しています。
| 指標 | Before | After |
|---|---|---|
| イベント申込数 | 5〜10名程度/回 | 55名(うち見込み客19名) |
| 見込み客の割合 | ほぼゼロ | 約35%(55名中19名) |
| 本会員化 | — | 2名 |
申込数の変化率は最大11倍。イベント前後の面談なども含めて、2名が本会員化しています。
特に大きかったのは、「既存会員だけがなんとなく参加するイベント」から、「見込み客が19名参加する”新規接点の場”」に変わったことです。広告費を増やしたわけではなく、既存ハウスリストへのナーチャリング設計を整えただけで、ここまで数字が変わったという手応えがありました。
なぜうまくいったのか
うまくいったと考えているポイント
ポテンシャルの高いメールチャネルを放置していた状態から、「まずはきちんとイベント募集のメールを送る」という当たり前のことをやり切った。ただ、「なぜ当たり前のことができていなかったのか」も重要です。
今回のケースでは、メルマガ運用が外部コンサル任せになっており、「誰が何を判断してどう動かすか」の責任と設計が社内に残っていませんでした。ツールも配信リストも揃っているのに成果が出ていない場合、運用の主体が不在になっているケースが多いと感じています。
LINEを「たまに送るだけの告知チャネル」から、イベント1週間前から複数回告知するリマインドチャネルに役割シフトさせ、迷っている層の背中を押せるようにしました。
「自分は婚活がうまくいっていない側だ」と感じている人の自己認識に寄り添うコピーと、「勧誘なし・他社会員OK」といった安心材料をセットで伝えたことで、参加の心理的ハードルを下げられました。
ブレイクスルーになった視点
イベントを「既存会員向けのおまけ」ではなく、「新規リードとの最初の接点」として位置づけ直したことで、どのチャネルで、どんなメッセージを、どの順番で届けるかの解像度が一気に上がりました。
広告とハウスリストの役割分担
広告は新しい層を連れてくる手段として重要です。ただし、既存リストが眠っている状態で広告だけを強化しても効率は悪い。イベントLP・イベント・ハウスリストは、すでに接点のある人たちに「次の一歩」(セミナー参加・相談予約など)を提示して背中を押す役割を担います。両者は補完関係にあります。
限界・注意点
本会員化への寄与は、イベント単体だけでなく、イベント前後の面談や他のタッチポイントも絡んでいます。「イベントのおかげで◯人入会した」とまでは言い切らず、イベントを含む一連の接点設計の中で見る必要があると感じています。
このアプローチが効くケース
今回のアプローチは、次のような状況で特に相性が良いと感じています。
既存リストはあるのに、イベント案内が「1通きり」になっている
メールやLINEのリストは一定数あるものの、セミナー/ウェビナー案内が「単発の1通で終わる」ケースでは、イベント1週間前から3〜4本のメールやLINEを設計するだけでも、成果が変わる余地があります。
新規会員・新規顧客の獲得が鈍化している
広告費を追加で投下する前に、既存リスト向けにイベントという「場」を設計し直すことで、獲得効率を改善できる可能性があります。
入会・契約の前に「話を聞いてみる場」を設計できるサービス
結婚相談所のように、いきなり本契約ではなく「まずは話を聞いてみる」「まずはイベントで雰囲気を知ってもらう」といった中間ゴールが置けるサービスとは特に相性が良いと感じます。
試してみてほしいステップ
まず、過去のメール・LINE配信データとGA4をざっと見直してください。「ちゃんとやれば反応していた配信」が必ず3〜5本はあるはずです。開封率やクリック率が突出して高かった配信を拾い出して、「なぜ反応したのか」を一言でまとめておくだけで十分です。
次に、直近のセミナーやウェビナーに向けて、配信タイムラインを紙に書き出してみてください。ゼロから設計するより圧倒的に動きやすくなります。今回の設計を参考にすると、以下のような組み方になります。
| タイミング | チャネル | テーマ | ねらい |
|---|---|---|---|
| 1週間前 | メール | 「このセミナーで何が得られるか」を丁寧に説明 | イベントの価値を理解してもらう |
| 5日前 | LINE | イベント詳細+申込ボタン | スマホからその場で申し込んでもらう |
| 3日前 | メール | 「婚活がうまくいかず迷っている人へ」という共感コピー | 迷っている層の背中を押す |
| 前日 | LINE | 「明日締切です」リマインド+申込ボタン | 見ていたが申し込んでいない層を拾う |
送る本数や順番は施策によって変わりますが、「締切までに複数回・複数チャネルで届ける」という設計があるかどうかが、最初の分岐点です。
まとめ
既存リストが眠っている状態でも、メールとLINEの設計を見直し、イベント1週間前からのナーチャリングをちゃんとやるだけで、イベント申込数や新規リード数は大きく変えられます。
広告を足す前に、まずは既存ハウスリストへの届け方の設計から見直してみてください。
メール・LINEのナーチャリング設計についてのご相談
「既存リストはあるのに成果につながっていない」「メールやLINEの配信設計をどう組めばいいかわからない」
そんな方は、ぜひ一度SPIRITSにご相談ください。ナーチャリング設計のご提案から実行まで一気通貫で対応しています。
