「集客の受け皿がない」をオウンドメディアの設計で解決。ゼロから1年でオーガニック流入の土台を構築した事例

「広告を回してもROASが合わない」「競合に押されてオーガニックでの集客が徐々に減ってきている」「社内に成功事例はあるが、市場に発信する媒体がなく集客・販売に繋げられない」「競合に対して強みが伝わらず、販売が伸びない」

こんな課題を抱える企業は少なくありません。統合されたオウンドメディアが弱い、あるいは競合に押されてオーガニックが減るなか、社内に溜まった成功事例も集客や営業に活かしきれていない——。今回ご紹介するのは、そのような支援先に対し、オウンドメディアをコンセプト設計から運用実装まで一気通貫で設計し、約1年でオーガニック集客の土台を構築した事例です。

結論から言うと、ポイントは「キャリアの一部としてのフリーランス」という文脈でメディアを組み、インタビュー記事とSEO記事の2軸で運用したこと。競合分析とキーワード調査、既存顧客の声を踏まえて設計したことで、オーガニック流入が伸び、メディア経由の個別面談予約や営業成約率の後押しにつながりました。

今回の事例

今回の事例は、フリーランス育成スクールを運営する支援先における、統合オウンドメディアのゼロからの立ち上げです。

約5年スクールを運営しており、受講生へのサポートや実績は社内に蓄積されていました。一方で、競合に押され、オーガニックでの集客が徐々に減ってきている状況でした。

統合されたオウンドメディアが弱く、集客は広告や単発キャンペーンに依存しており、オーガニックの集客動線ができていませんでした。当社は、その状態からコンセプト設計・カテゴリ設計・コンテンツ方針・記事運用まで約半年で設計・実装を支援し、その後は支援先側で継続運用されている取り組みです。チャネルはSEOとSNSを想定し、メディアを「集客と信頼醸成の受け皿」として位置づけました。

こんな人に読んでほしい

  • 広告を回してもROASが合わず、競合に押されて減るオーガニックを立て直したい
  • 競合に対して強みが伝わらず、スクール・サービスへの販売が伸び悩んでいる
  • 社内に成功事例はあるが、市場に発信する媒体がなく集客・販売に繋げられない
  • オウンドメディアをゼロから立ち上げたいが、何から手をつければいいかわからない
  • 社内に成功事例はあるが、集客・営業のコンテンツとして活かしきれていない
  • オーガニック集客の土台を作りたいが、コンセプトやカテゴリ設計のやり方がわからない
  • 新規メディア立ち上げの事例と数値のイメージをつかみたい

課題:広告ROAS・オーガニックの減少・発信媒体の不在・競合との差別化

施策前、支援先が抱えていた課題は大きく四つでした。

広告を回してもROASが合わない

広告で認知やリード獲得を試みても、費用対効果が十分に得られない状態でした。集客が広告や単発キャンペーンに依存しており、オーガニックの集客動線ができていないため、単発の広告やキャンペーンに頼るほど採算が取りづらく、持続可能な集客モデルを築く必要がありました。

競合に押され、オーガニックでの集客が徐々に減ってきている

もともとオーガニックでの集客もあったものの、競合の台頭や検索環境の変化により、オーガニックでの集客が徐々に減ってきている状況でした。統合されたオウンドメディアが弱く、SEOやコンテンツによる集客の土台を立て直す必要がありました。

社内に成功事例はあるが、市場に発信する媒体を持たないため、集客や販売に繋げられない

支援先ではサポートに相当なリソースを割き、受講生の実績や成功事例は社内に蓄積されていました。しかし、それらを市場に発信する媒体(オウンドメディア)を持っていなかったため、集客や営業のコンテンツとして外に届けることができず、集客や販売に繋げられない状態でした。

競合他社に対しての強みがなく、スクールへの販売がうまくいかない

上記のように実績・成功事例が社内に留まったままだったため、競合と比べて「なぜこのスクールなのか」が示しづらく、長年の実績があるにもかかわらず差別化ができておらず、スクールへの販売が思うように伸びない状況でした。そのため、「オーガニック集客を立て直す受け皿としてオウンドメディアを設計・強化し、社内の成功事例を発信する媒体として競合に対する強みを見える化する」ことを支援先と当社で優先課題として設定しました。

原因の切り分け:競合・キーワード・顧客の声で見えたこと

メディア設計の前提として、当社は支援先とともに競合、検索ニーズ、既存顧客の声を整理しました。

使用したツール・手法

競合メディアの分析には競合メディア分析ツール・キーワードプランニングツール・市場リサーチツールを利用し、市場における業界の状況分析からスタートしました。あわせて、支援先が持つ既存顧客へのインタビュー、ペルソナのインサイト分析から行い、「誰に・何を・どの文脈で」届けるかを具体化しました。

得られた気づき

競合メディアではキャリア系のカテゴリ(就活・転職・キャリア形成など)を軸にした集客が多く、「フリーランス」単体ではなく、キャリアの一部としてのフリーランスという文脈が有効そうだと読みました。

また「在宅」や「新卒起業」という切り口には競合が手を入れきれておらず、差別化の余地があると判断しました。さらに、広告クリエイティブではビフォーアフター型の訴求の反応がよく、受講生の「変わったストーリー」を記事化するニーズがあると仮説を立てました。ここから、「ビフォーアフターが見えるインタビュー記事をメディアの柱の一つにする」という方向性が固まっていきます。

やったこと:コンセプト設計から運用体制まで

Before:施策前の状態

  • 広告を回してもROASが合わず、持続可能な集客モデルがなかった
  • 集客が広告や単発キャンペーンに依存しており、オーガニックの集客動線ができていなかった
  • 競合に押され、オーガニックでの集客が徐々に減ってきていた
  • 社内に成功事例はあるが、市場に発信する媒体がなく、集客や販売に繋げられなかった
  • 競合に対して強み(実績・事例)が伝わっておらず、スクールへの販売が伸び悩んでいた
  • 社内に情報発信の文化がなく、サポートで蓄積した実績・事例が集客・営業コンテンツとして活かされていなかった
  • 単一の営業手法に依存し、競合に差をつけられない状況だった

After:設計・実装した内容

メディアコンセプトと名称

「今までになかった新しい生き方に出会えるキャリア応援メディア」というコンセプトを設定し、メディア名を決定しました。読者には「生き方・キャリアに悩む人が、自分に近い事例と出会い、一歩を踏み出すきっかけを得られる場」として設計しています。

カテゴリ設計

インタビュー、キャリア、ニュース、プレスリリースの4カテゴリを設け、インタビューで「人の変化」を、キャリアで「ノウハウ・情報」を、ニュース・プレスで「事業の動き」を届ける役割分担にしました。

コンテンツ方針

インタビュー記事SEO記事の2軸としました。インタビューでは受講生のビフォーアフターを中心に掲載し、SEO記事ではキャリア・就活・転職・在宅など検索ニーズに合わせたテーマを扱います。記事ガイドラインとライティングマニュアルを整備し、品質とトーンのばらつきを抑えました。

更新頻度と運用体制

週1回の更新とし、支援先側でライターをゼロから育成する形で運用体制を構築しました。社内の「書く人」を増やしながら、継続的にコンテンツを積み上げる設計にしています。

読者に想定した動線

自分の生き方や将来に悩む人が、悩みに近いキーワードで検索してメディアに到達 → サイト内を回遊するなかで、生き方を変えてフリーランスになった自分に近い人の事例(インタビュー)に触れる → 「そんな人が変わったきっかけ」として相談やスクールを案内するCTA記事をクリック → スクール情報に触れながら、まずは無料の相談会に申し込む、という流れを想定しました。

何を見て判断したか

メディアがゼロからの立ち上げだったため、以下のKPIを設定して効果を検証しました。

主KPI

  • オーガニックセッション数(メディア立ち上げのため、まずはオーガニックの土台形成を優先)

副KPI

  • UU(ユニークユーザー数)
  • 回遊率
  • コンバージョン(相談会申込など)に紐づく記事へのアクセス数

ツールはGA4とSearch Consoleを使用しました。本記事では、オーガニック(メディア)経由の流入と、メディアがもたらした成果を中心に結果を整理しています。

結果:オーガニックの土台ができ、営業の後押しにも

検証期間は2024年1月1日〜12月31日で効果を確認しました。

オーガニック検索の推移(GA4)

GA4のオーガニック検索セッションを月別に集計すると、立ち上げ期の1〜4月は月100前後だったものが、5月以降増加し、後半は月2,500〜3,400台で推移しています。

オーガニック検索セッション
2024年1月〜121
2024年2月74
2024年3月100
2024年4月86
2024年5月672
2024年6月1,423
2024年7月2,032
2024年8月2,527
2024年9月2,718
2024年10月3,410
2024年11月3,298
2024年12月3,175

メディア経由の成果指標

オーガニック流入の増加に伴い、個別面談予約は検証期間中に244件を記録しました。記事はインタビュー24本、キャリア系24本、ニュース5本を公開しています。

オーガニック流入は立ち上げ直後から急に伸びるわけではありませんでしたが、継続的な記事公開や広告運用により、トータルで一定規模のオーガニックセッションを獲得できるメディアとして形になってきました。

その結果、オーガニック経由の相談申込が増え、営業の後押しにつながっています。あわせて、営業担当が営業資料のなかでインタビュー記事を引用する使い方が広がり、スクールへの販売・成約率の向上にも貢献したという手応えが支援先から得られています。

なぜうまくいったのか

要因①:社内の成功事例を集客コンテンツとして可視化した

まず、支援先の社内にすでにあった「成功事例」を集客コンテンツとして可視化したことが大きいです。サポートで蓄積していた実績や受講生の変化を、インタビュー記事という形でメディアに載せたことで、「営業→サポート→感謝」で終わっていた流れが「集客・営業の材料」に変わりました。

要因②:キャリア文脈でフリーランスを位置づけ、検索ニーズと合致させた

キャリアという広い文脈のなかでフリーランスを位置づけたことで、検索ニーズや読者の関心と合い、集客から契約までの動線を組みやすくなったと考えています。SEOによる流入と、インタビュー記事による信頼醸成の両方が、支援先の全体の売上や営業成果に寄与したと解釈しています。

想定外だった点:メディア認知が指名検索や営業につながった

当初は「オーガニックの流入とメディア経由の申込が伸びればよい」というイメージでした。ところが、メディアに触れた人が、のちにスクール名やメディア名で自然検索して戻ってくるという動きが支援先で出てきました。メディアで内容を覚えていた人が指名検索で相談に至る、あるいは営業に直接つながる事例も生まれ、メディアが「認知→検索→申込」の一連の動線を支える資産として機能し始めたことは、想定以上の収穫でした。

このアプローチが効くケース

同じようなアプローチが効きやすい条件をまとめます。

  • 広告を回してもROASが合わず、持続可能な集客モデルを探している
  • 集客が広告や単発キャンペーンに依存しており、オーガニックの集客動線ができていない
  • 競合に押され、オーガニックでの集客が徐々に減ってきている
  • 社内に成功事例はあるが、市場に発信する媒体がなく、集客や販売に繋げられない
  • 競合に対して強み(実績・事例)が伝わっておらず、スクールやサービスへの販売が伸び悩んでいる
  • 社内に成功事例や「うまくいった人」のストーリーが溜まっているが、集客・営業のコンテンツとして活かしきれていない
  • 対面サポートやカスタマーサポートがメインの事業(スクール、医療、冠婚葬祭、ダイエット・美容、就活・転職支援などのキャリア系など)

このような事業では、すでにある「事例」や「変化」をメディアの軸に据え、コンセプトとカテゴリを設計し直すだけで、集客と営業の両方に効く資産になり得ます。まずは競合メディアのカテゴリ構成とキーワード、自社のサポート事例や顧客の声を整理し、「誰のどんな変化を、どの文脈で届けるか」を言語化するところから始めるのがおすすめです。

試してみてほしいステップ

  1. 自社の「成功事例」や顧客の変化を一覧化する
    営業・CS・サポートで語られている「うまくいった話」を、集客・営業で使えるコンテンツ候補として書き出してみる。
  2. 競合メディアのカテゴリとキーワードを確認する
    自社が入りたい文脈(キャリア、在宅、転職など)が、どのように記事化されているかを把握する。
  3. メディアの役割を一言で決める
    「誰に、どんなきっかけを届ける場か」をコンセプトとして決め、そのうえでカテゴリとコンテンツ方針を考える。

まとめ

オウンドメディアは、単なる流入獲得の手段ではなく、会社・事業の資産として長く使えるものです。広告ROASが合わない、競合に押されてオーガニックが減っている、成功事例はあるが発信する媒体がない、強みが伝わらない——そんなときは、コンセプトと設計を丁寧に積み上げ、インタビュー記事とSEO記事の2軸でメディアを運用することで、オーガニックの土台とスクール(サービス)販売の後押しの両方を狙えます。

失敗できない施策だからこそ、スピードを保ちながら、競合・キーワード・顧客の声を踏まえた設計から始めることをおすすめします。

オウンドメディアについてのご相談

「オウンドメディアを立ち上げたいがやり方がよくわからない」 「何をどう進めていけばいいかわからない」

そんな方は、ぜひ一度SPIRITSにご相談ください。オウンドメディア立ち上げのご提案から実行まで一気通貫で対応しています。

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TomohiroHamamura

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